
近江飛龍がこの世に生を受け半世紀が経ちました。3人兄弟の末っ子として生まれた私ですが、母も舞台人でしたので日々の公演のによ流産・死産等でこの世に生を受けられなかった上の兄弟が6人くらい居ます。この年齢に差し掛かり、ふと自分が歩んできた足跡を振り返ると、生まれ出る事が出来なかった兄姉の人生まで背負っているようなそんな気がします。
今でこそ若い座長リーダーが当たり前の時代ですが、僕が私が座長に就任した時は19歳当時は、その年齢で座長になる事自体珍しいというか・・・世間が認めづらいというか・・・。お客様からも「そんな若造が舞台で座長なんか出来るのか!」と怒号が飛び交った時代でもありました。「負けてたまるか!」の精神に火が付き、正統派の舞台が主流の時代に「異端」の二文字を流し入れてやろうと思ったのが21歳の時でした。とにかくお客様が喜んでいただけるなら何でもやりました。というか、他の先輩座長がやっている事と「真逆」の事をやった記憶があります。その当時は「瞼の母」みたいな感じのお芝居を演じると、お客様がどんと押しかけました。僕は「喜劇」を押し通しました。人を笑顔にする事が小さい時から好きでしたし、自分の得意分野は「喜劇」だと分かっていました。でも、「喜劇」というだけで避けられるような時代でもありました。昔のヘルスセンターや健康ランドの公演で、お食事やお酒を呑みながらご覧になっている人は、当時舞台なんか見ていませんでした。どっちかというと「こっちで呑んでいるのにうるさいなぁ」くらいだったんでしょうw。でも、この不特定多数の人たちをファンに出来たら一気に全国的に知名度が上がっていくぞと思い、舞台を見ていない人たちも見るような舞台を演じた事もあります。タブーな事ですが開演中でもお客様からお酒を勧めていただければ断る事なく呑みました。毎日楽屋に入って来てゴミ箱に吐いていましたねw。絶対に真似しないでくださいね。そんなお陰で「近江飛龍」の名前は全国に知れ渡って行きました。僕には思惑と計画がありました。僕だって思い描いているような「お芝居」や「ショー」などがいっぱいありました。でも名も知れていない、お客様もあまり集客できない劇団が何をやっても話題にはならない事を分かっていました。インターネットもSNSもない時代、今のように容易くなかったのです。だから「近江飛龍」という名前を売ることに専念しました。同業者の理解者も少なく孤立して行ったのを覚えてます。でも孤立したからこそ「近江飛龍劇団」にしか出きない真似ができない独特の色と味が出たんだと思います。
会う役者さんや僕をあまり知らない人たちから、いまだに「蒲田行進曲」のお芝居の事を言われます。「すごいね!」「いいお芝居ですね!」「当時画期的でしたね!」とか、いっぱいあるんですが・・・甘いですねw。僕の中ではあれは最高の「駄作」であり最高のコメディーなんですよ。僕は「駄作」という言葉が好きでして・・・。まぁ見ているお客様が舞台に向かって「わーー!駄作!」なんて叫ぶ事はありませんが、「最高」というのはそこで完成して終わってしまうんです。「駄作」というのは未完成でこれから発展していく可能性を秘めているという具合に解釈しています。昔からのファンの方々はお分かりになるかと思いますが、近江飛龍劇団は「お芝居」も「舞踊ショー」もあまり新作を打ち出しません。その代わり、一回やった「駄作」を数年の周期を経て、その「駄作」を昇華させ「最高」の近くまで持っていく事が多いですね。
今回は50歳の誕生日公演を好きにやらせて頂きました。
お芝居は嫁の父と1時間半くらい芝居話をしているうちに出来上がった新作。そして劇団座員の和太鼓未経験者に1ヶ月で無理やり覚えてもらいました。がんばりましたね!
人間として50歳の節目を迎え、座長として30年、連合いと共に20年ちょっと。陰日向でがんばってくれている嫁よ。ありがとう。舞台人にはならなかったけど2人の息子よありがとう。
そして、空の上から見ているかもしれない父母。この世に産んでくれてありがとう。
そして・・・舞台の事をな〜〜〜にも教えてくれなくてありがとう。
父よ、あなたの舞台は小さかった僕の記憶にありません。
母よ、教えて欲しかったら金をくれと言った・・・w。
だから僕は何にも知らなかった・・・。知らなかったから飢えていた、知らなかったからこそ頑張れた、知らなかったからこそ唯一の舞台人になれました。
最強のスパルタ父母!!ありがとう!!!
僕に「・・・エロいね」という人がいます・・・。エロくないです・・・色気があるんです。
エロと色気は別物ですw。エロは異性に対しての魅惑ですが、色気は男女関係ない魅惑なんです。
近江飛龍は老若男女関係なく楽しめるようなモノ作りに励んでいきます。
こんな僕ですがこれから先もよろしくお願いします。
長年応援していただいているファンの方々!これからもよろしくお願いします。僕の歴史をその目で刻んでいってください。
新規のファンの方々!まだまだ見ていない近江飛龍の引き出しはいっぱいあります!びっくりしないように!
近江飛龍はこれから先も孤高の舞台人のして皆様方の前に現れたいと思います。